燃調キット

キャブレター燃調キット

3.キャブレター燃調キットの用途

燃調キットの一つ目の用途はトラブルシューティング(不調改善)です。燃料供給に問題があるバイクの修理に使います。従ってまずバイク不調の原因が燃料供給によるものかそれ以外の原因かを突き止めねばなりません。そのためにはシャーシダイナモや空燃比計で空燃比を正確に測るのがベストなのは言うまでもありませんが、実際問題として思うにまかせないケースが多いでしょう。そんな場合に備えて以下の簡易判定法を用意しました。不調判断の手助けとしてご利用ください。

簡易判定法を二つご用意しました。
一つ目はこちらの《バイク診断リスト》をご覧になり、おおよそのメドをつけてください。この表に記載の無いトラブルは燃料供給が原因ではない可能性が高いので他の部位を調べてください。

空燃比をどちらの方向にどれくらいもっていけば問題が解決するかを判断するのに有効なもう一つの方法が《プラグの顔色診断》です。プラグの各部分の色やツヤを詳細に観察することにより、空燃比の状況が随分と明らかになります。これらを総合的に勘案して、使用するジェット類とジェットニードルのサイズを決めてください。基本的な方向は、空燃比を大きくするにはパイロットジェット、ジットニードル、メインジェットの三点ともL方向に動かすべきですし、逆に空燃比を小さくするには全部をR方向に動かすべきです。しかし低速域、中速域、高速域のどの領域をどう変えたいかによって、L、S、Rの組み合わせは違ってきます。そこがキャブレターチューニングの醍醐味ともいえるでしょう。燃調キットのもう一つの用途は、バイクのチューンナップ(性能向上)です。但しキャブレターは自分で力を生み出す機器じゃありませんので、キャブレターだけをいくら調整してもチューンナップの効果はあまり期待できません。エンジンおよびエンジンの前後の部品を取り替えてチューンナップをする際に、それらと適合するようにキャブレターを調整することによって性能が向上すると理解してください。例えば空気通過量を多くするエアフィルターや排気抵抗を減らすマフラーに交換してエンジンの性能を向上させようとすれば、当然ながらエンジンが要求する混合気の条件も違ってきます。そこでキャブレター調整の出番です。それを容易に満たすのが燃調キットです。

エンジンをボアアップしたときも同じです。当然ながら供給する混合気を増やさねばなりません。そこで燃調キットにお呼びがかかるのです。つまり燃調とはエンジン廻りの全ての状況を考慮して、適切な濃度、適切な量の混合気を供給する事なのです。ボアアップは特に調整が難しい様なので、さらに詳しく説明致しましょう。
各種エンジンのボアアップ部品が市販されております。それらを用いてシリンダーを大きくした場合には、10番ほど大きな番手のメインジェットを使うようにアドバイスされております。しかしそんなアバウトなことじゃいい結果の得られないことが多いようです。 それはメインジェットの10番と言うのが、キャブレターの種類によって意味が違うからです。例えばK社の100番のメインジェットには1.00Φの穴が開いおり、110番のメインジェットには1.10Φの穴があいてます。すなわちK社は穴径を使ってメインジェットのサイズ表示をしております。そして100番を110番に変えると流れるガソリンの量は約19%増えます。しかしM社の場合には、100番表示のメインジェットには0.89Φの穴が開いており、110番には0.93Φの穴があいてます。これはM社の表示が流量表示(穴を通るガソリンの量で表示)だからです。だから100番から110番に変えてもガソリンの量は8%しか増えません。(流量は当社独自の計測方法による)従ってメインジェットの番手を10番大きくするといっても、キャブレターの種類によってその効果は全く違うのです。
加えてジェットニードルの問題があります。メインジェットは中速にも随分と影響しますが、主として高速領域を支配します。中速の主役であるジェットニードルは、高速でも大きな影響力をもってます。加えて低速域の主役であるパイロットジェットまでもが、中〜高速域に無視できない影響を及ぼします。したがってボアアップパーツのメーカーのアドバイスに従ってメインジェットを変えても、それだけで調子が出るなんてのは稀有といっていいでしょう。こうなるとやむなく高価なカスタム用のキャブレターに取り替えざるをえなくなってしまいます。つまり給排気の改善やボアアップによって要求される新たな混合気に対応できるのは、燃調キットだけということになります。

エンジンやエンジン廻りの部品を替えてチューンナップする場合には、どうしても試行錯誤を避けることはできません。その場合の判断の目安になるように、燃調キットではジェットやジェットニードルを替えた場合に、燃料の流量がどれだけ変わるかという目安を明示してあります。(燃料流量目安)カスタム化でどれくらい燃料を増やせばよいかまでは我社では把握できませんが、燃調キットが広くバイク界に普及すれば、いずれはカスタム化部品を供給してるメーカーから燃料を**%増量せよと言う指示が出るようになるだろうと予想します。

チューンナップを試みて一発で満足する結果が得られれば“メデタシ、メデタシ”ですが、満足できなければ各部品の作動原理と主要な機能領域を考えて、燃調部品の組み合わせを工夫してください。判断の基準は燃調マップにしたがった燃調作用の加算原則です。その際には当然ながらアイドルスクリューの調節とジェットニードルのクリップ段位置の検討も加えてください。クリップ段位置の調節でも、±0.5程度の空燃比調整は可能です。うまくいったかどうかは走ってみるのは当然ですが、プラグの状態を確認するのも忘れないように願います。プラグの熱価を変えることによって問題が解決することも珍しくありません。(冷え性の好きなエンジンンもあれば、焼餅焼きの好きなエンジンもあります。)

空燃比をあれこれ変える際に注意せねばならないのは、あまりに混合気を薄くすると(空燃比を大きくすると)、エンジンが焼け付く恐れがあることです。(燃料の気化による冷却効果が弱くなるからです。)従って空燃比を大きくする際には、エンジンの様子を見ながら徐々に変えていってください。
バイクのチューニングは知恵とセンスの勝負です。男の遊びとして最高ランクに属する難易度といって良いでしょう。悪女を意のままに操る快感を味わって欲しいものです。

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